効果の「コ」

効果

漫画を読んでいると、その背景には様々な描写があります。その中に人物やキャラクターの心理描写を、絵で行う表現方法があります。
たとえば図を見てください。
どちらもテストで満点を取って喜んでいる男子学生の絵ですが、どちらがより喜んでいる印象を受けますか? 

効果

きっと左の方が喜んでいる感じがすると思います。むしろもう片方は、何か違和感を覚えませんか?

左には彼の周りに光があふれ、うれしさがにじみ出ているような感じにしました。うれしさのあまり花も咲かせてしまいました。
逆に右の背景ですが、たいていこんな背景に立つ人物は気持ちが落ち込んでいるように見えるのではないでしょうか。
ベタ塗り部分や縦線が重たい印象を与え、なんだか陰気な感じです。
適切な表現を用いることで、登場人物の気持ちや考えていることがより伝わりやすくなるのです。

実はこれらは漫画独特の表現方法です。
こうした効果は実際に目に見えるものではありませんが、登場人物の感情を感覚的に表し、一層わかりやすくリアリティをもって読者に訴えかけてきます。
またここでは詳しく触れませんが「パアアアッ」「ガーン……」などのような擬態語(ものなどの状態にそれっぽい雰囲気であてた音で、実際文字通りの音はしません)を用いた、効果音というものもこれに一役買っています。
文章であれば言葉で心理描写を行えますが、漫画は絵が命ですので、キャラクターの心理描写も絵を使ってできればいいですね。漫画によって色んな効果がありますので、ぜひ読んでいる漫画も観察してみてください。

構図

人物や背景、細かい効果などについて見てきましたが、これらすべてをより魅力的な画面として配置するためにはどうすればいいのでしょうか。それを考えるときに出てくるのが構図です。
構図とは、一つの画面の中にものや人物などをどのようにおさめるか考えたものです。一枚絵を描く場合や写真を撮る場合にもこの考え方は非常に重要で、その種類も多岐にわたります。今回はその中でも特に基礎的なものをかいつまんで説明します。

三角形構図

三角形構図

大きく囲んだ三角形の通り、この構図は三角形構図と言います。
三角形という図形は、下の辺が広く非常に安定した図形です。そのため、静かさ、安定感、安心感を示すことができます。大きな山や、腕組みをして仁王立ちする人物を正面から見たところなどを想像するとわかりやすいかもしれません。
画面を安定させたいときや、しっかりした印象を与えたいとき、また落ち着いた印象を与えたいときに効果的だと思います。

逆三角形構図

逆三角形構図

次は、逆の逆三角形構図です。こちらは先ほどの図形を逆にしたもので、受ける印象も全く逆のものになります。
つまり、不安感や恐怖感などを与えることのできる構図です。同じく読者の不安や緊張感を煽るときにも使えるでしょう。
しかし逆に言えば、動きの出る面白い構図でもあります。躍動感や、これから何かが起きるかもしれないといった、予感を感じさせる構図です。
こんな構図ばかりでは落ち着きませんが、ここぞという場面で使えば、メリハリのある画面になるでしょう。

構図は効果的に使うことで、よりいっそう物語の質や登場人物の感情、場の状況などを強く示します。
これら以外にもたくさんの構図がありますので、皆さん色々と挑戦してみてくださいね。

以上で、講座を終わります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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